阿保徹先生の著書「未来免疫学」の一節に「天気の良い日にゴルフに出かけようとすると、きまって盲腸の患者がやってきて、ゴルフに行けなくなる」と云われるように、「高気圧と組織障害の関連」が取りざたされております。

 「高気圧にすっぽりと覆われた晴天の日に盲腸の患者が増える」これは気圧の変化によって自律神経の調和が崩れるからで、「高気圧の時は酸素が多くなり交感神経が優位になるので顆粒球細胞が増える」、「低気圧の時には酸素が薄くなるので副交感神経が優位になるのでリンパ球が増える」また、交感神経緊張症の人がストレスが溜まってイライラ・カリカリしてくると「顆粒球細胞」が増えます。

 顆粒球とは白血球中にある免疫細胞で「大食細胞」とも呼ばれ、細菌などの異物を食べて死骸となり化膿となって処理されます。様々な要因から体内で顆粒球細胞が異常に増殖すると、標的を求めて暴走します。これが盲腸内部で起これば、急性虫垂炎の組織障害が起こって、発症に至ります。症状としては、「右下腹部急痛」「白血球数1万以上」「CRP10以上」の症状が出ます。

 このような場合のサポート薬は、熟成ニンニクエキスの「キョーレオピン」と光感光色素の「ルミンA」の併用と盲腸の炎症を鎮める漢方薬の煎じ薬を使用します、痛みの程度と便通の具合で選薬して行きます。
通常、服薬直後から痛みが軽減されてきて、7〜10日程度で白血球数とCRP値が正常になって治癒します。

 

 

 

 

 平成27年6月5日(金曜日)友人のK氏から電話がかかってきました。
5月の中頃から、お腹が痛み便がゆるいので、近所の内科クリニックに受診して抗生物質と整腸剤で経過観察をしておりました。クリニックからは「ビオフェルミンR散1.0g」とМSメイアクトの後発品の「セフジトレン ピポシル100r」が処方されました。
 6月3日の受診日の検査データを見せてもらうと、CRP16.01、白血球数9400です。ドクターのコメントには「炎症反応↑↑、白血球数は高くない」と記載されております。白血球数の基準範囲は3900〜9700とあり上限は超えておりませんが、それでも高値です。

 此れをどう捉えるかが問題です。
 CRPが10以上、白血球数が10000以上で右下腹部痛が有り、過去に盲腸を摘出していない者は、先ず盲腸を疑い、次に腹膜炎や腸炎を疑い、痛みが急激で耐えられない場合は腸閉塞などを疑い、その時は救急搬送させます。
 患者が抗生剤のメイアクトと整腸剤ビオフェルミンを服薬しても一向に症状が良くならないので心配して私に電話を掛けたのです。私も翌日から札幌へ講演が控えていたので、5日の夕方に盲腸の漢方薬(○○○○湯)を2日分煎じて手渡しました。

 札幌から戻って8日に具合を聞くと「真っ黒い便が下ってすっきりして、痛みが楽になった」と云うので、私が「おそらくCRPと白血球が正常になって、治っているはずだから、すぐクリニックへ行って検査するように」と伝えてたので、9日に再度受診し検査しました。
 9日の検査ではCRP0.75, 白血球4000と正常値になっておりました。抗生剤と整腸剤を服薬しても全く症状が改善されない状態が、漢方薬を服薬直後に真っ黒い便が下ってお腹がすっきりして治ってしまった。医学的にも炎症値のCRPと白血球数が漢方薬服薬後に劇的に下がって正常値になりました。この患者は、たった2日分の服薬できれいさっぱり完治したということです。

 盲腸を漢方薬で治すということは、なかなか世間の人達には信じてもらえませんが、盲腸が治ってCRPと白血球が投与2日で劇的に正常化した事は検査値のデータ上からも明らかな事実なのであります。
 アメリカの宇宙飛行士などは宇宙空間で盲腸になったら大変なので打ち上げ前に盲腸の手術をするそうです。ハリウッドの女優なども乳ガン・子宮ガンに罹らない為に予防的切除手術をしたりします。確かに「切除すれば無い物は病気にならない」・・・理屈はそうですが、麻酔・手術でメスを入れられ体の一部が切り刻まれ切除されてしまうと、失ってしまった大切なもの、これから派生する未知の危険などを考慮すれば東洋思想の「身体髪膚これを父母に受く、あえて毀傷せざるは孝の始めなり」とありますように、出来る事ならば身体を傷つけることなく病気を治したいものです。

  盲腸の漢方薬は「盲腸を散らす」とか「一時抑え」とかいうのではなく、効果が出れば完治するし、再発することは今までもありませんでした。専門家のアドバイスも聞かずに自己判断で行動する人は、思い込み・迷い・不安・知識不足・未体験などから客観的な判断が出来なくなり、ピントハズレの方法を選んでしまう可能性が高く、回り道したりして迷宮にハマってしまいます。漢方薬を使う時は、ネットでの情報を鵜呑みにしたり自己判断で服用せずに、治験例の豊富な漢方の専門家に相談される事が良いでしょう。